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トルクベクタリングコントロールで旋回効率と高い乗り心地を確保

投稿日:2017.02.20 その他

一般的な自動車は、ハンドルで前輪の向きを変えることでカーブやコーナーを曲がります。 トルクベクタリングコントロールとは、この時に4つのタイヤに掛かる荷重を変化させる技術です。

この機能を利用するとで、ドライバーはより自然なコーナーリングが楽しめるようになります。 また、乗員は体や首などにかかる横Gを感じず、疲れの少ないドライブが楽しめるようになります。


●ハンドル操作に応じて、エンジン出力をコントロールものも



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画像参照元:ブリジストン


自動車は、走行に応じて4輪にかかる荷重を常に変化させている乗り物です。たとえば直線で加速中、 荷重は2つのリアタイヤに多くかかります。また、減速をするとフロントタイヤに荷重が移ります。


トルクベクタリングシステムは、走行の状況やハンドル操作に応じてこのような荷重の移動を自動的に作り出し、 より気持ちのよいコーナーリングや安定した乗り心地を実現するものです。


一般的な自動車では、一定の速度で走行中にハンドルを切ると、ハンドルを切った方向とは逆側のフロントタイヤに 多くの負担がかかります。しかし、速度が一定で荷重の移動がないために、若干ではありますがタイヤが外側に逃げるように カーブを曲がります。つまり、アンダーステア傾向となるわけです。


高い運転技術を持つレーサーは、カーブを曲がるためにハンドルを操作する前には、必ず減速傾向を作り車両の前側に 荷重を移します。そして、その状態を残したままハンドルを切ります。こうすると、カーブの外側になる フロントタイヤの面圧が高まり、タイヤの性能を引き出した効率的なコーナーリングができることを体感的に 知っているからです。


トクルベクタリングコントロールは、このような高度な運転技術を誰にでも使えるようにする電子コントロールシステムです。


コントロールの内容はメーカーの思想や目指すものによって変わりますが、基本的にはコーナーリングに至る際にフロント の荷重を増やす仕組みが組み込まれています。


たとえばマツダの「G-ベクタリングコントロール」では、カーブに向けたハンドル操作と同時にエンジンの出力を 落とします。これは、ドライバーや乗員には分からない微妙なレベルですが、これによって車両フロントにより多くの 荷重を移動し、フロントタイヤのトルクが有効に活かされるようサポートしています。



●4輪それぞれのトルクを個別に制御



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画像参照元:日産


4つのタイヤそれぞれに駆動力を持つ4WD車では、このようなトルクの管理が古くから研究されていました。 それは、滑りやすいオフロードを効率的に走るための技術として一定の成果を得ました。


トルクベクタリングコントロールは、これとは若干違い、通常の道路での走行をより効率的に、 快適にするための技術です。このため、同じ4WD車でもオフロード車とはトルク管理の方向性が異なります。


トルクベクタリングコントロール機能を搭載したオンロード向けの4WD車では、ハンドルの舵角やアクセル開度、 車速の他、車体の傾きなどの各センサーで得た情報から、車載コンピュータが各車輪に割り振るトルクをはじき出します。 そして、それを元に電子制御式のカップリングやブレーキなどを個別に制御して安定したコーナーリングを実現します。


一般的に、自動車がコーナーを旋回時にトルクがほしいのは、カーブの外側になる車輪に対してです。 これを実現するために、各メーカーではそれぞれに独自の機構を生み出しています。先に触れた電子制御式の カップリングはその一例ですが、この他にも左右の車輪を繋ぐ車軸の途中に複雑なギアと多板クラッチを設け、 このクラッチの断続によってトルク配分を行うものもあります。


ちなみに、ホンダのスーパーカーとして世界中から注目される新型NSXでは、 前輪の左右に配置された2つのモーターの出力を制御することにより、前輪のトルクをコントロールしています。 これにより、全速度域で高いライントレース性能が実現されているようです。



●誰にでも一定レベル以上のコーナーリングを可能にする技術



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画像参照元:オートックワン


トクルベクタリングは、誰にでも理想のコーナーリングができるように車両をコントロールする技術です。 これによって、ドライバーは自分が思い描いたラインに車両を乗せることができます。カーブの途中で 修正舵をあてる必要も減るので、運転が上手になった気分も味わえるでしょう。


また、安定したコーナーリングをする車両に乗れる乗員にも、メリットが多いはずです。


しかし、高度な電子制御によって実現される機能を備えた車両には、大きな落とし穴があります。 それは、人間が進化する余地を奪うということです。進化には喜びを伴いますから、高度な電子制御は運転から 喜びを奪うといえなくもありません。


既に、日本の自動車界ではマニュアルトランスミッション(MT)の車両が少数派となっています。 しかし、MTの操作は自動車好きにはたまらない面白さがあります。このような運転のごく基本的な楽しさを、 多くのセンサーによって高度にコントロールされるシステムが見えにくくしているという意見もあります。


最近の自動車に関する電子制御技術は、安全性や快適性の追求を外れ、人間を退化させる方向に及んでいる 気配があります。縦列駐車を自動で行う機能はその代表ですが、トルクベクタリング機能が、 そうでないことを願うばかりです。


“ぶつからないクルマ”は大変結構ですが、ハンドリングに過剰な電子制御が入ると、そのクルマは 大概つまらなくなります。メーカーには、その高いテクノロジーを“乗って面白いクルマ”の開発で発揮して 欲しいと願っています。

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