LEDヘッドライト厳選コラム

自動運転の実用レベルは?久々の衝撃が・・・

投稿日:2016.12.19 その他

■ここ数年でにわかに注目を浴びている“自動運転”


私たちが幼い頃から思い描いていたわかりやすい未来の自動車。空は飛べてなかったけど少なくとも人間が操作することなく目的地まで勝手に連れて行ってくれる夢の自動車にどこまで近づけているのでしょうか?

現時点での最新情報をあらゆる側面からわかりやすくお伝えしていきたいと思います。 きっと夢の未来のあまりの近さに驚かれることと思います。
まずは私が最新の自動運転搭載車を実際に運転してみてどこをどう感じたのか?個人的な感想を含めてお話させていただきます。



dsc_0714

今回ほぼ丸1日私の相棒になってくれたのが、自動運転では現段階で最も進んでいると言われているアメリカ・シリコンバレー発の電気自動車テスラ・モデルSです。このモデルSは当初は完全電気自動車にも関わらず実用的な後続可能距離を実現していることで一躍話題になった車です。

ですが、今回はもちろん電気自動車であることは置いておいて、自動運転にフォーカスを当てたいと思います。



dsc_0730


自動運転を構成している技術的内容については、 「自動運転に力を入れているメーカー」 で詳しくお話するとして、ここではあくまでも体験してみての率直な感想を述べさせていただきます。


はじめに、私は仕事柄いろいろな車に試乗する機会があるのですが、ここまで驚いたのは久しぶりだということをお断りしておきます。 テスラ・モデルSはクルーズコントロールのレバーを二回手前に引くとただそれだけで、「ポン」という軽いアナウンス音が鳴り自動運転モードへと突入します。運転を車に任せるということにいろいろ身構えていた私とは対照的です。



dsc_0725


「一般道での自動運転」

まず、最初に最も難易度が高いと思われる交通量の多い街中、しかも歩行者や自転車、路肩駐車車両もたくさん存在する東京都港区青山の外苑西通りでさっそく試してみました。

なぜこんな過酷な道を選んだかというと、車両の受け渡し場所がここだったからというだけの理由なのですが、なにより自動運転を早く試したくて待ちきれなかったからに他なりません。

走行中に自動運転モードを発動させてステアリングと足元のペダルから恐る恐る手足を放します。幼い頃、自転車の練習中に補助で持ってもらっていた手を放してもらう、そんな心境と似ているかもしれません。



dsc_0720


メーター内の液晶ディスプレイにも車道概則端の白線や車やバイクなど他の交通が表示され、それらに対してレーダー波による感知を行っていることが視覚的にも理解できます。ある程度の直線ならこれまでも補助してくれる車に乗ったことはあるので、それほど目新しくはありません。





真価が問われるのはステアリングを明確に左右に切らなければいけないコーナーにさしかかったときです。驚くほどスムーズにグイグイと曲がっていきます。ステアリングの切り始めの唐突感もなくあくまでも自然で、まるで熟練ドライバーのようです。

大きな曲率のコーナーでは、わずかにアウト・イン・アウトのラインを通っており不思議に思ったので、後ほどメーカーに問い合わせてみたところ、これはプログラムによるものではなく実際のオーナードライバーのデータをビックデータとして活用し常に最適なラインを更新し続けているとのことです。テスラ・モデルSの自動運転の一番の強みはこのあたりの随時アップデートシステムにあると感心させられました。


その後の走行中も前走車がいる限りはほぼ人間の操作を必要とせず、駐車車両などの障害物も適切に回避しながら進んでいきます。ただし、自車が先頭の場合は赤信号による停止・発信などは自分で行う必要があります。



img_04591


「高速道路での自動運転」

次に高速道路で試してみました。首都高→第三京浜を走って都築PAで折り返すというルートです。首都高上でこそ多少のギクシャク感はありましたが、第三京浜に入ってからはスムーズそのものでPAに入るとき以外は人間が介入することなく走破してしまいました。

コーナーを完璧なラインを描いてクリアしていく様には感動すら覚えたほどです。





「自動縦列駐車」

最後に圧巻だったのは縦列駐車です。スイッチ一つで駐車場所を勝手に見つけて人間が操作するよりも圧倒的にスムーズかつ1ミリの狂いもなく完了してしまいます。

これまでの類似機能と比較して早さの点で実用レベルに達していると断言できます。目の前で勝手にクルクルと迷いなく回転するステアリングを見ていると人類の英知の凄さを誇りすら沸いてきます。



img_04521


「今後の改善に期待」

首都高を走行中に何度か最高速度が突然50km/hに制限されてしまいました。どうやら下を走る一般道の最高速度制限を誤って読み込んでしまっているようです。

テスラ・モデルSでは速度制限の標識とGPSによるデータの2種類を用いて制御しているそうなのですが、この辺りの精度には改善の余地を感じました。(一般道では制限速度以上での自動運転は設定不可能で、高速道路上では制限速度による制御はかからないそうです。)

一般道や首都高で前走車がいない場合に車線を識別する白線が薄くなっていたり途切れたりしていると、ディスプレイの表示とアナウンス音でステアリング操作が不安であることが伝えられます。

その際にはステアリングに少し手を添えて補正してあげることで安定します。なんだか車が不安がっているようで可愛く思えて笑ってしまいました。もちろんこの辺りも今後の改善には期待したいです。


全体の感想としては、まだまだ出始め感の強い自動運転にも関わらず運転そのものの質は非常に高く感じました。こうなったら遅れている法整備などの社会インフラ面が追いつき、本当の完全自動運転が解禁される日が一日も早く来て欲しいと望まずにはいられません。


自動運転はレベル1~4が存在する



自動運転と一言でいってもその定義は様々です。目の前の道をただただまっすぐ障害物にぶつかることなく進むのも自動運転だし、目的地さえインプットすれば後は勝手に運んでくれるのも自動運転。

そこで、自動運転というものを正しくとらえるために、その定義とレベルについてお話させていただきます。


「自動運転の定義とレベル」


自動運転とは人間の操作を必要とせず運行できる機能または車のことを意味するのですが、最終段階としては、人間のドライバーが全く操作に関与しないレベルを目指しています。即ち自動運転のレベルとはどの程度ドライバーが関与するのかについての段階的レベル分けとご理解ください。


「法的制約」


実は、自動運転に関する国際条約があります。“ジュネーブ道路交通条約”では自動車というものは常時人間の運転が必要であると定義されています。

そのためこの条約の加盟国は現段階においては、ドライバーの介入を必要としない車の一般公道における運行を法的に認めるわけにはいきません。



afggg
画像参照元:『TELESCOPE』

「レベルの定義」


それでは、法的に技術的に現時点でどこまで到達しているのか具体的に明らかにするためにまずはレベルの定義をお話します。 自動運転のレベルは、日本政府や米国運輸省道路交通安全局によって以下のように定義されています。


・レベル0

ドライバーが常に全ての操作を行います。前方衝突警告などの操作を含まない運転支援システムについてもこのレベル0に含みます。


・レベル1

加速・操舵・制動のいずれかの操作をシステムが行います。衝突回避のための自動ブレーキや自車単独でのクルーズコントロールなどが該当します。


・レベル2

加速・操舵・制動のうち複数の操作をシステムが行う状態。アダプティブクルーズコントロールなどがこれに該当します。ドライバーは常時、運転状況を注視する必要があります。





・レベル3

加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときにはいつでもドライバーが対応できる状態です。通常時ドライバーは運転から解放されてはいますが、予期せぬ緊急時やシステムの限界時にはシステムからの運転操作切り替え要請にドライバーは適切に応じる必要があります。

この段階までは自動運転はあくまでも運転補助であるため事故時の責任はドライバーが負うこととなります。


・レベル4

完全自動運転。加速・操舵・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しなくてもよい状態で、運転に関する操作と監視・認知を全てシステムに任せます。ドライバーという定義そのものが必要なくなり、有人・無人の両方が選択可能です。


「現在の法的レベル」


一般のドライバーが公道上で認められる運転レベルに限定してという前提を置かせていただきます。世界的にまだまだ法律上レベル3が認められるまでは進んでいません。

しかし、そのための準備は着々と進められているのが現状です。レベル3までは保険の問題もドライバーが全責任を負うという形で規定されているため、それほど遠くない未来にも法整備が進むとみられています。ただ、レベル4ともなると乗り越えるべき課題が山済みです。



gra
画像参照元:『ペダル踏み間違い事故防止 手動スロットル』

「技術的レベル」

技術的には実はレベル3に限りなく近い車は既に市販されています。


「実際に自動運転を試してみた」でも登場したテスラ・モデルSがそれに該当します。前走車があるという前提でみればドライバーによる運転操作をほぼ必要としません。

また、テスラ社の場合はハード面ではレベル4相当まで完成していると発表されており、残るはソフトウェアの段階的アップデートを待つだけとのことです。



rrr
画像参照元:『バラミリ』

そして、最先端技術という意味では世界各地でレベル4に関する試験が繰り広げられています。鉱山や軍用などのように場所と用途さえ限定すればすでに実用化されているものまで多数存在します。


「近未来」


ここ日本においても東京オリンピックが開催される2020年に合わせて様々な自動運転が整備されつつあります。

・レベル3の自動運転車実用化に向けた技術開発と法整備
・オリンピック会場周辺に限定したレベル4無人タクシーの運用


これまでも技術革新の裏にはオリンピックや万博など発表の場の存在が常にあったという歴史を振り返ってみると、前述の目標も必ず実現してくれることと期待せずにはいられません。

2020年といえば、未来といえるほど先ではなく数年後のお話です。そんな近未来には場所を限定しているとはいえ、完全無人による自動運転車が街中を走行することになるのです。想像してみただけでワクワクすると思いませんか。


自動運転に力を入れているメーカーの技術の違いはあるの?



世界中で様々なメーカーや研究開発機関が自動運転についての研究開発を行ってきました。中でも特に力をいれているメーカーとそれぞれの技術的相違点について紹介させていただきます。


「自動運転に関する基礎的技術」


各社の違いを紹介する前に自動運転を支える基礎的技術について説明させていただきます。 現在主流となっている自動運転は主に以下の4つの基礎技術によって構成されています。



gghht
画像参照元:『日経ビジネス』

・レーダー

電波を対象物に向かって発射し、その反射波を測定することで対象物との距離や方向を計測する技術です。


・LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)

光を用いたリモートセンシング技術の一つで、パルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を測定し、対象までの距離やその対象の性質を分析するものです。前述のレーダーに類似しており、レーダーの電波を光に置き換えたものです。

両者の最も大きな違いは見極められる対象物の違いです。レーダーは金属物によって効率よく反射されるが、雨滴や岩といった非金属は反射を起こしにくく、物質によってはまったく反射が検出できず、レーダーでは見つからない場合があるのに対して、LIDARは極めて小さな対象や非金属にも効果を発揮します。


・GPS

今更説明の必要はないかと思いますが、カーナビやスマートフォンにも用いられる技術で、衛星を利用した地球上での位置測位システムです。

・カメラ

スマートフォンに代表されるように近年ではカメラの小型高性能化が飛躍的に進んできました。また、それと両輪をなす認識ソフトの技術革新も盛んで、カメラ画像を解析することで標識や交通状況を認識することまで可能となっています。



y7787
画像参照元:『ニュースイッチ』

「基礎技術のみですでに実用化された例」


前述の基礎技術のみで用途や環境を限定することにより現在すでに実用化にたどり着いている自動運転も存在しています。

イスラエル軍で運用されているあらかじめ設定されたルートをパトロールする無人車両や、鉱山・建設現場などで運用されている無人運行ダンプカーなどです。

これらの環境では人間が操作するには苛酷だったり無駄が多かったりするため無人運行の需要が飛躍的に高まりを見せています。日本でも建設機械大手のコマツが販売を拡大してきました。


「各メーカーの自動運転の特徴と違い」


近年ではどこの自動車メーカーも自動運転の研究を開始していますが、その中でも特に力を入れて実用化に漕ぎ着けている各社について、内容的技術的観点から違いを紹介させていただきます。



kure
画像参照元:『Hatena Blog』

・日産 プロパイロット

システム構成としては、価格的制約からか単眼カメラのみの構成となっており計測精度に少々不安が残ります。 内容としては、ごく一般的な前走車への追従と車線保持のためのステアリングアシストとなっています。あまり特筆すべきことはなく他社になんとか並んできたといったところです。



kjr5
画像参照元:『Clicccar5th』

・ホンダ Honda SENSING

システム構成としては、ミリ波レーダーと単眼カメラの複合で、それなりの計測精度となっています。特徴いたしましては、車線保持の際にステアリングだけでなくブレーキも併用することであらゆるシーンで車線中央をキープしているところです。総合的に平均点です。



3f3ff
画像参照元:『最新自動車情報2016』

・スバル アイサイトVer3

名前からもわかるとおりシステム構成こそステレオカメラのみと一見不安かに思えるのですが、このカメラの性能を極限まで高めることで他のセンサー類の補助を必要とせずに高精度な運転補助を実現できています。

アクセル、ブレーキといった末端の操作だけでなくVDCやトランスミッションそのものを積極的に制御することにより細やかな操作を実現していることも特徴的です。



mkotyd
画像参照元:『TOYOTA』

・トヨタ AHDA、セーフティーセンス

システム構成は豪華で、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、カメラに加えて独自の車間通信技術まで搭載しています。これらの複合による高精度な計測を用いて、あらかじめ適正な走行ラインを算出し、そのラインに沿って走行するという他より一歩先を行くステアリングアシストを実現しています。また、二種類のレーダーを走行速度によって使い分けていることも特徴です。



bagvvra
画像参照元:『最新自動車情報マガジン』

・メルセデス・ベンツ ディスタンスパイロット、ディストロニック、ドライブパイロット

システム構成こそ非常にシンプルベストなカメラ、レーダーセンサー、超音波センサーとなっているもののこれらの精度と調合が非常に高レベルです。

特徴はやはりアウトバーンを擁するドイツの巨人だけあってシステム動作制限が210km/hまでと国内勢の2倍となっています。

ステアリングアシストに関しては、車線不明瞭時でさえも130km/hまでカバーしており、車線の代わりにガードレールなどを認識してステアリング操作を実現しています。また、運転支援だけでなく安全に関する機能の量でも他を圧倒しています。



dsc_0720


・テスラ ソフトウェア8.0

システム構成からして豪華です。ミリ波レーダー、光学式カメラ8箇所、超音波ソナー12箇所と質でも量でも他を圧倒しています。

これは最初の設計段階から完全自動運転を見据えて開発していることと、電気自動車のためエンジンやトランスミッションを積まない分スペースに十分な余裕があることから可能になっているのだと考察できます。

ハード面ではすでに完全自動運転が可能な状態と公表されており、肝心のソフト面に関しても段階的に予定通り自動アップデートされ続けています。

シリコンバレー生まれらしく先進のIT技術をフル活用し、ソフトウェアアップデートに常に反映できているところが最大の武器といえます。



rgavaa
画像参照元:『MOBY』

「国別の比較で日本は?」


よく比べてみると国内勢と海外勢の間にも大きな違いがあります。ステアリングアシストに関するものが多く、外車勢は完全にステアリングから手を離すことを許容、むしろ掴むと機能がオフになるのに対して、国産勢は軒並み数秒間手を放すと機能がオフになってしまいます。これは日本の国土交通省による認可制度への配慮だと思われます。

また、ステアリングアシストが自動車線変更にまで及んでいるのはメルセデス・ベンツやテスラなどの海外勢に限られており、この辺りはやはり海外勢の方が進んでいるといわざるを得ません。

海外発の製品を改良して極めるのが得意な日本。これまでの家電製品の如く後発組の巻き返しに期待したいところです。


自動運転の事故についての事例と今後の課題



自動運転と聞くと夢のある華々しいメリットばかりが想像されますが、現時点ではまだまだそうも言っていられないようです。

世界各地で自動車メーカーや研究開発機関が実証実験を実施していますが、万全を期して望んでいるはずの実験中でも事故が多々発生しています。これまでに起こった事故の事例から今後の課題を探ってみたいと思います。

「自動運転レベル3の事故事例-実験車両Google社」

アメリカのIT企業Google社は自動車関連メーカーではないものの社会インフラ技術として自動運転の実用化を目指しており2017年~2020年までには完全自動運転を実用化すると公表しています。



gagargabva
画像参照元:『ENGADGET』

そんな同社が実施中のテストで2016年2月14日15時20分に自責による事故が発生しました。Google社の公式見解でも自社の非を認めておりすぐにソフトウェアの改修を実施しています。

自責によるとお断りしたのは、他責つまり“もらい事故”によるものが以前にも17件発生しているためです。2009年から約7年をかけて53台の自動運転車が計224万kmの走行テストを実施してきた中ではじめての自責による事故が発生したわけです。

ただ聞くとそれだけ走ってたった1件の事故ともとれそうですが、もちろんそういうわけにはいきません。道路上に存在する車の台数を考えるとかなりの高頻度となってしまいます。

事故の詳細は、路肩に置かれた砂袋を検知し一旦停止後、それをよけるために左へ進んだところ、後ろからきたバスの側面に接触したそうです。自動運転車は時速3キロ以下、バスは24キロと低い速度だったため双方にけが人はいませんでした。



aavavava
画像参照元:『ENGADGET』

「自動運転レベル2の事故事例-市販車テスラ・モデルS」


アメリカ・シリコンバレー生まれとなる初の車であり完全電気自動車、自動運転搭載者として注目を集めるテスラ社のモデルSによる自動運転中の死亡事故が発生してしまいました。



ffaea
画像参照元:『Autoblog』

「自動運転のレベル1~4解説」を読んでいただけた方は、市販版ということはまだレベル2のはずだし、自動運転中と言っていいのか?という疑念を持たれるかと思います。

その通りです。世界的に自動運転中の事故として報じられてしまいましたが、正確に言えばまだまだ走行アシスト機能を使用中の事故と表現されるべきものです。



ena
画像参照元:『WSJ』

事故の詳細は、2016年5月7日にフロリダ州のハイウェイでモデルSの前方に大型トレーラーが直角に割り込み、そのトレーラーに巻き込まれてモデルSのドライバーが死亡したというものです。

どうやら事故原因は、ドライバーが走行アシスト機能に依存しすぎたことと、トレーラーの白いボディが太陽の光を反射して各種レーダーには存在しないように認識されてしまったことのようです。



nrtttt
画像参照元:『MOBY』

同社の発表によると、この事故は2015年10月のアップデートで運転支援機能が追加されてから約2億1000万km走行後に発生したものとのことです。また、それに付け加えてアメリカの一般車両による死亡事故は平均すると1億5000万kmごとに発生するという比較データも公表しました。


「事故にみる今後の課題」


他にも数件は自動運転関連の事故が存在するのですが、象徴的だった2件を紹介させていただきました。この典型的な2件から現段階と将来的、それぞれに関する重要な課題がみえてきます。


・現状での問題点

テスラ・モデルSの運転支援リリースを起点として、各メーカーも追随するように運転支援機能が装備された車を市販化してきました。それらはあくまでも言葉が示すとおり“運転支援”機能であって、“自動”運転ではありません。にも関わらず、ニュース上では自動運転による事故と報じられてしまっています。

ここにこそ問題が潜んでおり、運転支援機能を装備した車のオーナーを含むほとんどの方が自動運転に関する正しい知識を持ち合わせておらず、運転支援機能と未来の自動運転との差異を理解していないことが課題だと考えます。

前述のテスラ・モデルSに関する死亡事故も、そんな誤った理解からくる運転支援機能への過信が痛ましい事故につながったのだと推測できます。マスメディアやメーカーサイドももう少し注意深く正しくアナウンスしていれば防げた可能性がある事故であって、それを公表する際に一般車両の死亡事故率と比較することには何の意味もないといえます。



eafafafa
画像参照元:『RESPONSE』

・将来的課題

将来的な課題については、前述したGoogleの試験中の事故によって浮き彫りになっています。 まず、一つは自動運転車と非自動運転車との混走です。全ての車が一斉にある日を境に自動運転車に置き換われば理想的な事故のない世界が実現できるかもしれませんが、現実はそういうわけにもいきません。

Googleの試験中の他責による事故件数にも触れましたが、この件数は通常の他責事故としても多すぎます。他責事故の内容をみてみたところ、自動運転車の安全確認の丁寧さが人間のドライバーの感覚とは大きく外れていて事故にあいやすいように読み取れました。

簡単にいうと、人間同士なら相手の意図を汲み取ったりジェスチャーや合図を送りあうことで円滑に通行できる場面などで、丁寧に安全確認をしすぎることで相手に意図を誤解されることがあるようです。これらの問題は混走している限りはなくなることはないでしょう。

もう一つは、やはり責任の所在問題です。レベル3までなら明確にドライバーに責任を負わせることができますが、レベル4になってしまうとそうもいきません。

事故が起こった場合にその責任が、運転席に座っている人間にあるのか、それとも運転操作をしていた自動運転システムにあるのかを明確に規定する必要があります。

自動運転システムにあるとした場合には損害賠償を支払うのは製造しているメーカーとなるのでしょうか。先ほどの混走問題はここでも登場します。自動運転車と非自動運転車の場合は自動運転システムのミスでないことを立証するのはかなり困難だと思われます。



fafehhhhhe
画像参照元:『メディカルトラブル』

こうしてみると、すぐそこまで近づいているように感じられた夢の完全自動運転が一気に遠ざかって見えてしまいますが、ご心配なく。人類の英知を結集すればそれほど難しい問題ではありません。実証実験と制限付き導入を段階的に進めていく中で、事例と経験を積み重ねながら解決方法も見えていくはずです。


実用化に向けて

ここまで、実際に現状でもっとも自動運転に近い車を試乗した感想から自動運転技術の詳細、そして少し暗い見過ごせない側面について紹介させていただきました。これら全てを理解した上でもう一度自動運転というものについて考えてみたいと思います。



rea
画像参照元:『首相官邸』

4.自動運転の事故についての事例と今後の課題でお話したように問題は山積しているものの、自動運転によるメリットも膨大にある以上は各社が標榜している通りの2020年付近がレベル3の自動運転元年となってくるはずです。 近未来の出来事として自動運転が自分の身に降りかかってくることが確認できたところで、ここからは少し私の個人的な思いをお話させてください。



ggggggggga
画像参照元:『autoblog』

これまで散々“夢の未来”と紹介しておきながらこんなこと言い出し辛いのですが、実は私は自動運転にあまり肯定的なポジションではありません。前提として公共交通機関や運転ができなくなった高齢者などを対象とした限定的対象における公益のための自動運転車はもちろんウェルカムです。私が肯定的でないと申し上げたのは、一般の個人への販売のお話です。



afaeea


私は車が大好きです。車の存在そのものが好きであり、何より運転することが好きで好きでどうしょうもありません。自動運転が普及すれば自分で運転する機会が減る、ことはそれほど単純ではありません。



事故が発生した際に対非自動運転車による事故件数が自動運転同士の事故件数を圧倒的に上回ることとなると予測できます。そうなれば、おそらくは次に来るのは非自動運転車の弾劾や駆逐です。

非自動運転車=交通事故の原因を作る悪という構図になってしまい、弾圧するための高い税金がかけられ台数がどんどん減少していき運転できる場所や環境が限定されてしまうと思います。


例えるなら現在の喫煙者が置かれている状況が近いかもしれません。そうなればただ単に自分で運転する機会を失うだけでなく、自動運転を搭載していない過去の美しい名車達も道路上を走行する機会を失ってしまうことを意味します。

確かに自動運転を試してみたでお話したように、テスラ・モデルSで始めて車が勝手にコーナーを曲がってくれた瞬間限りない未来の可能性を感じ感動を覚えました。


ただ今一度思い返してみると、教習所ではじめて自分でステアリングを握ってアクセルを踏んだ瞬間、憧れの自分の車で走り出した瞬間、程よい緊張感とこの上ない喜びがあったことを思い出します。車という人間の能力を遥かに超えた道具を自分の手で自由に操ることができた喜びに他なりません。



rrrrrrrrrrrrrrrrrrrrra


確かに車には単なる日常の移動手段という側面もありますが、運転とは人間のみに与えられた大いなる権利だという側面も忘れてはいけません。自動運転とはその人間がもつ権利や機会を自ら手放すことにほぼ等しいのです。



bbbbbbbbbbbba


私は、自分の子供たちやそのまた子供たちにもこの運転というどうしようもなく楽しい経験をさせてあげたいのです。せめて自分で運転するという選択肢を与えてあげたいのです。

最初に申し上げたとおり、自動運転の完成はもう目と鼻の先です。完成した暁にはせめて“自分で運転するという選択肢”も遠い将来に渡って残しておいていただけることを切に願ってやみません。

私の少数はであろう個人的見解はここまでにしておいて、自動運転の未来について話を戻します。



egagaadafa
画像参照元:『monostudio』

技術的分野では、今後おそらくほとんどの車がテスラ社のごとくソフトウェアの遠隔自動アップデートを採用することになると思います。ビッグデータやIoTを用いた技術革新のスピードはそれほどまでに早く、モデルチェンジまで待ってはいられないということです。


その他に確実に普及する関連技術に車同士の通信や車とスマートフォンの通信が挙げられます。車間通信を利用することで、センサーのみに頼った他車位置測定よりも精度を大幅に向上させることができるからです。


しかも、これらの技術はすでに採用され始めているものばかりです。つまり、革新的なチャレンジではなく既存技術の複合の延長線上なのです。これらを用いた完全自動運転が完成すれば、直ちに渋滞や事故は激減し輸送技術やコストも飛躍的に効率化されます。


副次的効果までいれればまさに社会の構造がガラッと変わってしまうほどと言えるでしょう。 メリット・デメリットいろいろありますが、やはり幼い頃夢に見た未来が実現すると思うとわくわくせずにはいられないのもホンネです。

一覧を見る

Go Back to Top!