LEDヘッドライト

LEDヘッドライトの選び方-放熱タイプで寿命が大きく違う-
投稿日:2016.08.08 LEDヘッドライトの選び方

最近国産車でも標準装備でLEDヘッドライトを装備した車が販売されるようになってきました。それと同時にハロゲンバルブを入れ替えるだけでLED化できる社外品のキットも販売されるようになってきました。一言にLEDヘッドライトバルブと言ってもさまざまなタイプがあり値段のレンジも結構広いため、どのLEDヘッドライトバルブに交換すれば良いか迷われる方も多いと思います。
そこで、今回はLEDバルブの代表的な3つのタイプ(フィン、ファン、コントローラー外付け)の紹介とメリットデメリットについてご説明したいと思います。
目次
LEDヘッドライトは放熱が重要
LEDヘッドライトバルブを見るとわかりますが、ハロゲンのバルブと比べると、発光部より根元の部分が大きくなっていることがわかると思います。これは、放熱のためのファンやフィンが付いているためなんです。LEDバルブは適切に放熱を行わないと壊れてしまいます。
では、なぜ放熱が必要なのでしょうか。それはLEDの特性にあります。LEDの特性として、光は全て可視光線(目に見える光のこと、逆に目に見えない紫外線や赤外線も光として考えます。)LEDに投入する電力を100%とすると、発光に使われるのが48%、LEDチッブないでの損失が38%、半導体などの抵抗によるものが14%となります。発光に使われる48%は32%が可視光線となり、16%が熱損失します。
つまり、16%+38%+14%=68%が熱としてチッブ内に残留することになります。LEDチッブは熱に弱いため、この熱をうまく排熱しないとチップが故障してLEDが点灯しないということになってしまします。
(図、引用:Tech-On LED用語辞典 2010年8月12日付)
※元ネタhttp://www.nll-t.jp/info/technique.html#c05
ハロゲンバルブやHIDの場合には電力が光に変換される際に、目に見える光と一緒に、赤外線などに変換され放出されるため(ヘッドライトを触ると熱を感じるのは光に含まれる赤外線が原因)に熱は問題にならないのです。
つまり、これからご紹介するLEDヘッドライトの3つのタイプは、放熱の方法の違いと言っても良いでしょう。
■ファンタイプ
ファンタイプはLEDバルブに冷却ファンを取り付けたものです。冷却ファンによって強制的に空気を循環させてLEDチップの熱を放出させます。 メリットはバルブの長さが少し長くなるものの、全体的にコンパクトに収まるために、ハロゲンバルブと大きさがあまり変わらないことです。
デメリットは、ファンが回転しますので、音が発生すること。どうしてもエンジンルーム内の空気を吸い込むことになるので、油や埃によってファンが壊れて停止してしまうと即トラブルにつながる点です。
■フィンタイプ
フィンタイプは、LEDバルブに放熱のためのフィンを取り付けたものです。金属のフィンを取り付けることによって、フィンは金属の表面積を増やして自然に熱交換を促して冷却を行います。
フィンタイプのメリットは、ファンのように回転機構がないため音がしないこと。また、故障の心配がないことです。 デメリットは、どうしてもフィンのサイズが大きくなるために車両によっては取り付けができないものある点です。
■コントローラーについて
LEDヘッドライトの中にはコントローラーを持っているものがあります。コントローラーは、LEDヘッドライトバルブと車両のコネクターの間に取り付ける小さな箱状の物です。 このコントローラーが付いているタイプですと、車両側から供給される電圧、電流を最適に調整してバルブが一番効率的に稼動できるように調整してくれるものです。車両から突然の大電流が流れたとしてもコントローラーがあればLEDバルブを守ってくれます。
コントローラーが付いているタイプが安心なのですが、その分値段が上がってしまうのがでデメリットともいえます。
【この記事読まれてます】
LEDヘッドライト人気ランキング
ハロゲンからLEDに交換を検討している方は必読です。カスタム歴の長い私がお客さんの車にLEDを取付けた経験をもとに順位をつけてみた
放熱性能が低いと起こる弊害
ポジションランプやブレーキランプに使用されているLEDに比べ、ヘッドライト用のLEDは、かなりの明るさ(光束)が必要で、その分その他のLED電球に比べ発熱量多くなってしまうのは避けて通れません。
発熱量の多いヘッドライト用LEDにとって、いかに熱を逃がすかが、寿命や性能に大きく影響を及ぼします。
そのため、一般的に販売価格が高い商品は、明るさや配光性能だけではなく「いかに確実かつ効率良く熱を逃がすか」と言うことが考え抜かれているのです。
逆に、安価な価格で販売されている商品は、根本的な熱処理が満足にできていないものや、組付け精度が甘い、使用している一つ一つの部材の品質が低いため、十分に放熱できないものが含まれています。
放熱が満足にできない場合に現れる代表的な症状としては、
1.寿命が短くなる
2.使用していると暗くなる(熱ダレ)
などがあり、下記よりそれぞれの症状がなぜ起こるのかについて簡単にご説明します。
寿命が短くなる
せっかく費用をかけて、純正ハロゲンから社外のLEDキットに交換しても、粗悪品にあたってしまうと、最悪1か月で点灯しなくなるといったことが起こるのは、放熱処理の甘さが一つの原因とも言えるでしょう。
LEDは発光ダイオードと呼ばれる半導体であり、必ず精密な電気基盤にハンダ付けされています。
LED基盤に使用されるハンダ付けは、理科の工作で習うような、人の手でできるレベルではなく、リフローと呼ばれる専用の機械を使ったハンダ付けがされています。
このリフローという方式のハンダ付けは、ハンダの量を少なくすることができるため、あらゆる精密機器に使用されていますが、どうしても熱によって剥離しやすいという特性があるのです。
そのため、パソコンや携帯電話などでも、放熱性の確保が大切になっているわけですが、ただでさえ熱を持ちやすいヘッドライトの場合は、さらに重要になってきます。
エンジンから受ける熱や走行中の振動がある車のヘッドライトでは、放熱性がきちんと確保されていないと、熱と振動によって断線してしまい、点灯しなくなるのです。
使用していると暗くなる(熱ダレ)
HIDにはないLEDのメリットとして、点灯直後からほぼマックスの光量が出せる点が挙げられますが、それは同時に、点灯直後から発熱し続けるということでもあります。
そして、どんなに高価なLEDであっても、時間の経過と共に暗くなるという現象がおこり、これがいわゆる「熱ダレ」という現象です。
熱ダレが起こる原理を簡単にご説明すると、配線やLEDを含む半導体など、電気を通す部材は、一般的に熱が高くなると電気抵抗も大きくなるという性質を持っています。
LEDに送られてくる電圧は一定ですので、発熱によって電気抵抗が大きくなると、供給される電気の量(電流)が少なくなってしまい、その分、LEDの光量(ルーメン)が低下してしまうのです。
安価なLEDを使用していると、走っているうちに暗くなった感じがするのは、放熱が甘いために起こる熱ダレが主な原因と考えられます。
もちろん、そのまま点灯しなくなるようなことはなく、抵抗値が飽和状態になれば、光量の低下もそこで止まりますが、比較的値段の高い商品は、この熱ダレを極力抑えるように工夫されているのです。
【この記事読まれてます】
LEDヘッドライト人気ランキング
ハロゲンからLEDに交換を検討している方は必読です。カスタム歴の長い私がお客さんの車にLEDを取付けた経験をもとに順位をつけてみた
どのタイプのLEDを選ぶべきか
今回の記事では、フィンタイプ、ファンタイプ、コントローラー別体タイプという3タイプのLEDをご紹介してきましたが、自分の車にはどのタイプが良いか迷ってしまいます。
上記でもお話しているように、どのタイプも一長一短であり、このタイプなら間違いないとはなかなか言い難いのが正直なところです。
しかし、最近の傾向としては、放熱ファンを持たないフィンタイプやコントローラー別体の商品が多くなってきました。
その理由は、LEDチップが取り付けられている基盤自体の熱伝導率が向上してきていることなどが挙げられます。
また、放熱ファンがあるタイプは、構成部品が多くなるため、どうしても故障するリスクが高くなってしまうこともその理由です。
どのメーカーも、明るさの向上を目標に開発するだけでなく、熱に対する対策を日夜研究し、その結果、LEDヘッドライトは目を見張るスピードで進化しています。
これらの情報を是非活用いただき、あなたにぴったりのLEDバルブを見つけてください。