LEDヘッドライト

LEDヘッドライト HB4 を3商品比較(GARAX,スフィアライト,YOURS)
投稿日:2017.04.28 LEDヘッドライトの選び方

人気の3メーカーのLEDヘッドライトを比較してみました。
前回はヘッドライトとフォグランプに使用する光源について、
純正ハロゲン・LED・HIDの3種類の比較検証を行い、結果的にはHIDが最も明るく
LEDは時期尚早ということでしたが…
果たして、他のLEDでも結果は同じなんでしょうか。
そこで、今回はLEDのみで、3種類のメーカーによる比較検証を行っていきたいと思います。
それでは、比較内容を一緒に確認していきましょう。
目次
「使用機器」
今回使用した車両とLEDについて紹介させていただきます。
・使用車両
マツダ ロードスターの第二世代目となるNB8C
平成12年式後期モデルNB2型を使用しています。前期のNB1型ではヘッドライトは、ハイ・ロー一体型のH4が設定されていましたが、後期NB2型では分離型のHB4に変更されています。純正バルブはもちろんハロゲンです。
・商品紹介
・GARAX
製品名:LEDコンバージョンキット コブラ
価格:17,490円
色温度:6000K
明るさ:5600lm
チップ:CREE社製
セット内容:バルブ、ドライバ、結束バンド、レンチ、パッキン、説明書、保証書
保証期間:2年

・スフィアライト
価格:21,600円
製品名:日本製 LEDヘッドライト RIZING2
色温度:6000K
明るさ:4800lm
セット内容:結束バンド、HB3 Oリング、六角レンチ、取扱説明書(兼保証書)
保証期間:3年

・YOURS
価格:9,016円
色温度:デフォルト6500K、フィルムにより3000~10000Kまで変更可能
明るさ:6000lm
チップ:CREE社製
セット内容:色温度変更フィルム、保証書
保証期間:1年

「比較結果」
詳細な比較検証の内容を説明する前に、まずは結果からお話しします。
【明るさ】
スフィアライト > YOURS > GARAX
【配光】
スフィアライト = YOURS >> GARAX
【取付け易さ】
YOURS > スフィアライト > GARAX
【耐久性(製品の構造上)】
スフィアライト > GARAX > YOURS
【メーカーの対応】
GARAX > スフィア = YOURS
保証期間:スフィア(3年) > GARAX(2年) > YOURS(1年)
この3つでのお勧め度
・GARAX:2
・スフィアライト:4
・YOURS:4
結果をみると一目瞭然で、上記5つの比較項目中3つが1位、残り二項目で2位と、総合的にハイパフォーマンスなのはスフィアライトでした。ただし、次点のYOURSとの差はそれほど大きくはありません。この両者の価格(スフィアライト: 21,600円、YOURS:9,016円)が、2倍以上の開きがあると思うとコストパフォーマンスの点でYOURSも相当にお勧めできると言えます。
唯一YOURSの欠点としては、保証期間が1年と短いことですが、1万円以内というこの価格なら壊れた時に、「その時の最新のものに買いなおせばいい!」と割り切ることもできそうです。
逆にYOURSのみの特別な工夫もあります。それは、付属の特殊耐熱フィルムをチップを覆う ガラス管に貼り付けることで、色温度が3000~10000Kまで自由に変更することができることです。

ガラス管を600円で買い増すことも可能で、気分によって色温度を気軽に着せ替えて楽しむことまでできてしまいます。近年の交通ではデイライト運動等もあり、ヘッドライトを点灯している時間も長く、ヘッドライトの光の色で印象がガラッとかわりますので、これは車好きとしては非常に楽しい工夫ですよね。
総合的に見て私ならYOURSを購入します。地方や山間部にお住まいの方等、ヘッドライトのライティング性能が夜間走行の安全性に直結する場合は、純粋に性能のよいものを使用するということでスフィアライトをお勧めします。ここまで全く触れてきませんでしたが、GARAXについては残念ながらお勧めすることができません。その理由については、後続の各比較項目で詳細にお話しさせていただきます。
「明るさ比較」
結果:スフィアライト > YOURS > GARAX
ヘッドライトにとってもっとも大切な要素である明るさについてお話させていただきます。多くを語るよりも、まずは次の画像をご覧ください。(明るさに焦点を当てるために特殊なモードで撮影しています。実際の色より紫がかってみえていますが、実物の色とは異なります。)



画像を見ていただければお分かりいただけたと思いますが、スフィアライトが明るさや照射範囲、カットの美しさで他社を圧倒していることがわかります。
YOURSはその少し劣化版で価格が半額なことを考慮すれば十分競争力のある性能だと言えます。
GARAXは明るさを語る以前の問題で、確かに真正面の遠方視界だけはかなり明るいのですが、照射範囲が極端に狭いことと、光のレールのような線が浮き出てしまっている点が許容できません。
街灯の少ない道路を思い浮かべてください、自転車やランナーが路地から急に飛び出してきたときに真っ暗なエリアから強い光のエリアに急に現れることになり非常に危険です。
縦と斜めに走る光の筋も路面との並行感覚を失わせたり、アンジュレーションを見えにくくする場合があり危険です。こうなってしまう理由については、続く配光の項で考察してみます。
「配光(カットライン)の比較」
結果:スフィアライト = YOURS >> GARAX
明るさの次に重要な要素となってくる配光について、結果と理由について見ていきましょう。まずは、取り付け後の配光について画像をご覧ください。




スフィアライトとYOURSの関係は明るさの項目と同様で照射の幅も奥行も非常によく似ています。GARAXについては、横から見てみることで照射幅の少なさだけでなく照射の起点がヘッドライトの遥か前方にあることがよくわかります。
これでは、暗闇ですぐ近くの側溝を見落としてしまいかねません。その上、壁に当たる手前で再度暗くなっていることもわかります。これでは、車の前方5mと10m付近の路面が分断されて暗い状態になってしまいます。また、この角度ですと、光の重なりによる強弱の違いがはっきりわかります。
次にこれらの配光となった理由をチップの配置から考察してみます。 オーソドックスにチップを表裏二面に配置するスフィアライトとYOURSに対して、GARAXだけがV字型に配置しています。一見GARAXが最もこだわりのある特別な配置となっているように思われますが、明らかにこの特殊な配置が上記の光の筋を生み出していると思われます。
下の図は、プロジェクター式ヘッドライトの断面を表しています。断面が楕円になっているため焦点が2つになります。この2つの焦点の一方にライトバルブを配置し、もう一方に集光用のレンズを配置することによって、余計な箇所に光が漏れる量を少なくして効率よく配光しています。
この集光の過程でスフィアライトとYOURSは、左右に分かれたチップから光が重なることなく均一に集められます。それに対してGARAXは、V字型の底の部分では左右のチップが照射した光が重なってしまうことにより、強い光の筋となってしまいます。
チップの個数も光の強さに関係しているようです。GARAXは1列に2つ、YOURSは1面に1つ、スフィアライトは3つと、並列に配置されているチップの個数が増えれば光が強くなる反面、価格も高価になるという関係性がわかります。

参考画像:https://astamuse.com/ja/published/JP/No/2008066190



「取付け易さの比較」
結果:YOURS > スフィアライト > GARAX
3つの製品全てで取り付け方法はほぼ同じです。
①純正ハロゲンやHIDのスイッチと電源を供給しているカプラーを抜きます。
②バルブを反時計回りに回しヘッドライトユニットから引き抜きます。
③使用するLEDバルブをヘッドライトユニットに取り付けます。今回の使用車両がHB4タイプだったため、3点の突起をヘッドライト側の凹みにパズルのように当てはめて時計回りにねじるだけです。
④LED本体とコントローラをカプラーオンで接続します。(YOURSのみは、コントローラ内臓タイプのためこの作業は不要です。)
⑤スイッチと電源を供給しているカプラーにLEDのカプラーを取り付けます。
上記の手順でただ単純に交換して取り付けるだけなら本当にボルトオンで、非常に簡単なのですが、湿気の進入や脱落しにくさを考えると隙間なく取り付けておきたいものです。
隙間なく取り付けるためには、台座の形成精度の高さが求められます。その点でもYOURSとスフィアライトは優れていました。逆にGARAXは、精度的にも少々難点がありバルブをヘッドライトユニットに挿入して時計回りに回しても15度程度しか回らず台座のかかりが浅く外れてしまいやすいのです。
その他の特徴としては、配線の取り回しがあげられます。後続の画像の通りYOURSの配線出口が上向きとなるため、少々固定がしにくいです。通常LEDバルブは本体とコントローラに分割されているのが一般的なのですが、YOURSは独自の開発努力によりコントローラを小型軽量化し、バルブ本体と一体型にすることに成功しています。
一体型のためコントローラとの接合部分も不要となっています。接合部分が少なければ少ないほど故障のリスクが減るのは当然です。



「耐久性(製品の構造上)の比較」
結果:スフィア > GARAX > YOURS
製品の構造から考察した耐久性に関しては、GARAXとスフィアの間にほとんど差はありません。(前述の台座の精度の分だけスフィアに軍配があがります。)YOURSのみが、次の三つの点で不利だと考えます。
まず、コントローラが一体型であることです。確かに取り付け安さや故障のリスクという意味ではメリットもありますが、裏を返せばコントローラが故障してしまえば全交換となってしまうことや、小さな本体に全てを収納することで熱的にも不利になってしまいます。
取り付け安さの項目でも指摘したように配線を上方に出しているため、重力による負荷がかかってしまい水分の侵入や劣化が早くなるリスクもあげられます。外見上の構造からもYOURSの本体だけが、薄型でフィンの数と放熱面積が少々足りないように見えます。
三つ目は、ガラス管の存在です。ファッション的にはとても魅力的な色温度を自由に変えられるガラス管ですが、こまめに取り外しを繰り返すことでの台座の劣化や、そもそものガラス管の熱的な劣化も見逃せません。
「メーカーの対応の比較」
結果:GARAX > スフィア = YOURS
保証期間:スフィア(3年) > GARAX(2年) > YOURS(1年)」
メーカーの対応について、注文から納期までを問い合わせることで比較検証してみました。その結果、これまであまり見せ場のなかったGARAXでしたが、唯一相談窓口に女性を配置しており好感が持てました。
スフィアとYOURSは男性による対応でした。納期を問い合わせてみたところ、GARAXとYOURSは即納とのことで注文した2日後には到着しました。スフィアライトだけが、予約注文扱いで約半月後の納品となりました。
メーカー保証の期間については、明らかに価格と比例していると思われます。少々高くても保証が手厚いものを選び長く使うのか、それとも壊れても最新を買いなおせばよいと割り切って安価なものを買うのか、どちらを選択した場合でも間違いではないと思います。
「番外編:どの商品がカッコいいの」
色温度だけでなく配光によっても、外観は異なってきます。番外編として性能とは異なる部分、外観のカッコよさの比較をしてみました。






肉眼では確かにはっきりした違いがあったのですが、残念ながら画像ではそれほどまでに違いを浮き彫りにすることはできませんでした。本当の違いは、ご自身の目で確かめてみてください。
「まとめ」
今回の3社比較の企画について、当初はどれくらいの差がでるものなのか未知数で、もしかしたらそれほど差がでず比較検証にならないのではとの心配もありました。いざ、取り付けてみて、想像以上の大きな差が出て驚いています。近い思想で同じようなユニットを各社だしているものの使用しているLEDチップの違いや同じチップでも配置がことなることによって、ライティングには大きな違いがでてくることがわかりました。
冒頭でも申し上げたように前回の企画で、ハロゲン・HID・LEDの光源3種比較を実施しました。結果的には明るさや配光の点でHIDの圧勝となりましたが、今回のスフィアライトなら決してHIDにも引けをとらないのでは、と感じました。
もし、光源としての本来の用途の面で負けていないとしたら省電力や発熱、点灯速度の点でLEDに軍配があがるだけに、LEDに交換しない理由がなくなります。製品のクオリティによっては、LEDに積極的に交換することをお勧めできます。